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鳴しろ信者である管理人の萌え吐き出し場&問わず語り。
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父親にエサ呼ばわりされたら絶対にトラウマになるよね。
ならないってことは、勝も「貞義は父親じゃない」ってふっきれているのね。







「勝はエサである。」
 (第2巻 勝 第13幕 【父のファイル②】 才賀貞義)




すごい言葉ですよね。自分の息子(当時)をつかまえて、エサ、ですよ?



ここにきて作品は物語の謎に少し触れます。鳴海が質問者、阿紫花が回答者となって、また勝が見つけた貞義のファイルにてこの時点での謎を提示します。
人形使いとは? 才賀とは? しろがねとは? そして、勝とは?



で。
前もって言及しておきますが皆さんご存知の通り、ここで語られる設定と、後の正二の回想編&黒賀村編での設定とではまるで別物になってます。その後の物語の展開に合わせたバックボーンへ変容します。このネタでレビューするのが脱力するくらい別物です。どちらも藤田先生が考えた設定なのですが、どちらの方が物語に深みを与え、作品に潜む昏さ、黒さを感じさせるか、それは前者です。この2巻で語られる設定です。まー、あくまで私個人の好みもありますけれどね、アットホームな黒賀村が好きって人もいるでしょうし。ここはとりあえず、私の好みに則ってレビューを進めていきます。




今は思う。この彼らの話し合いは何だったのか、と・・・。





鳴海に訊ねられて阿紫花は自分たちの素性について語りだします。阿紫花は「一族のことは村の長に口外するなと言われている」と止める羽佐間を怒鳴ってまで、鳴海に門外不出の一族の秘密を打ち明けます。

「あたしはこの兄さんにゃ一目置くコトにしたんです。」




【一目置く】  自分より能力の優れた人に敬意を払うこと。



敬意を払うこと、ですよ?プロ意識も高く、自分の腕にも自信のあるだろう、そしてあまり他人に執着をしなさそうな男がそうそう頻繁に誰かに対し一目を置くことなんてないでしょう?それも一族の秘密を打ち明けるくらいの、ですよ?そ ー れ ー が - 鳴海のこと忘れますかねぇ・・・。これもまた『そのときに』レビューしますが・・・殺し屋って勝程じゃなくても記憶力って大事なんじゃないの、自分の仕事に関わった人物をきれいさっぱり忘れているなんて。
ま、所詮、阿紫花が口先だけの嘘つきだってなら何を言ってもいいですよ?




阿紫花の情報の箇条書き。
  1. 阿紫花たち「人形使い」は近畿地方の小さい村・黒賀村出身、村の名から【黒賀の者】と呼ばれている。
  2. 黒賀村は平安時代から神社に神楽の人形舞を奉納していた。
  3. 昔から黒賀の人形を才賀が作っていた。
  4. 才賀、とは元々からくり人形師の集団のこと(少なくとも黒賀の先祖からはそう伝えられている)。
  5. 黒賀で人形舞が行われなくなっても、才賀が大企業になってもその関係は時代が変わっても続いた。
  6. 才賀のそのときどきの当主はこの屋敷(勝が誘拐された軽井沢の別荘のことらしい)でより強い人形の研究・製作を続けていた。
  7. 現代では才賀の方から多額の報酬で人形のモニターを頼まれている。
  8. 黒賀の者はその人形を使って非合法活動をしている。
  9. 才賀は黒賀の者を使って【人形を壊す人形】を研究・実験していたのではないか。


ここで後付け設定と大きな齟齬を出しているのは、黒賀と才賀が平安時代からの付き合いだと匂わされている点でしょうか?才賀家の創始者は正二ということになってます。仮に平安時代から黒賀と付き合いのあった才賀家に正二が入り込んだことにすれば何とかクリアできる問題にも思われますが、平安の世から続いているような古い家に婿養子として入るならともかく、嫁つきの新参者がいきなり当主になるなんてことはまず考えられません。(才賀家が没落しかけているのならまた事情は変わってきますが。)しかし、『からくりサーカス』の世界での才賀の当主は正二と貞義しか出てきません。それも以前にも述べましたが正二→貞義→正二→貞義と2回ずつ世代交代をしていなければ時系列に合いません。親族の多い旧家でそんなからくりが通用するわけがありません。あの入れ替わりは対外的にもどうなのよ、って感じなのに。



阿紫花の話だと、何代も前から才賀の当主はからくり人形に一種の暗いとも受け取れるような情熱を捧げていたように描写をされています(ある意味この度死亡した貞義の前々々当主から人形を壊すための人形の研究をしているので間違ってはいませんが)。代々の才賀当主と、しろがね・エレオノールを育てたフランスのキュベロンとはどういう関係があったのか、初期の藤田先生のプロットではどうなっていたのか、非常に興味があります。




それから黒賀村の持つ雰囲気。
阿紫花の説明だと『歴史に置き去りにされた隠れ里』の匂いがするんです。

「阿紫花さん、マズイっすよ。村の長が一族のコトは誰にもしゃべるなって・・・」
黒賀村編では阿紫花たち非合法集団は【はぐれ黒賀】ということで村を飛び出して勝手なことをしている鼻つまみ連中になってますが、この羽佐間のセリフからは『村全体で非合法行為に手を染めている』ような印象を受けます。そう、忍者の里のような・・・頭が請け負った仕事をそれぞれに割り振っているような・・・。才賀が人形を壊す人形を作り始めたときを同じくして貧しい村が選択した時代の狭間で生きていく方法。だからこそ余所者には排他的な、横溝正史の舞台になりそうな村、のようなイメージがあったんです。
ただのはぐれ連中だったら血相変えて「長が・・・!」なんて言う必要ありませんもの。はぐれものははぐれものらしく、はぐれものだけのルールに従えばいい。




それが一気にアットホームな村でしたから(涙)。神楽の人形舞が途絶えているなら子どもの人形相撲もやるなっての。人形相撲やっているくらいなら伝統行事を復活させなさいよ。
ま、勝手にそんなイメージを持った私が悪いんですけれど。 それ以外の点については特筆することはありません。例え和歌山県が近畿地方にあったって小さなことです。





次に勝が見つけた貞義ファイルの内容。

  1. 勝はエサである。二匹の犬を相噛み合わせて共倒れにさせるような しろがねが全ての人形を壊した後、もう不要となった人形、そして、人形使い―黒賀の者たちを自爆させるためのスイッチとでも言おうか。
  2. しろがねは全ての自動人形の破壊者である。そして才賀はそのしろがねの道具である「人形」を作り続けてきた。だがもう才賀の使命も終わりに近づいた。忌まわしき人形たちは、全てしろがねが壊したようだ。才賀の当主が「黒賀」の者に与え、実験を重ねて磨き上げた、「懸糸傀儡」を使って・・・
  3. 残るは、ここにある人形と黒賀の者達だ。これらを消して我ら才賀の使命は完遂する・・・そのため私は、ひとつの方法を思いついた。愛人との間に子を作った。名を勝という。



トラウマにならない方がおかしいくらいの自分の出生にまつわる話を知る勝。



その後には、勝に全財産を遺すという遺言を遺して自分が死ねば欲の深い身内同士が馴染みの黒賀の者を使って潰しあうだろう、そして人形も黒賀の者も壊れて消えていく、と続きます。後にこのファイルは貞義が正二の危機感を煽ってしろがねを呼び寄せる算段をさせるためのきっかけに過ぎないことが判明します。





(1)について。

さて、この貞義の本当の目的はどこにあったのでしょうね?それは知る由もありませんが、藤田先生が『貞義』と名付けたのはこのキャラを悪役として動かす目論見が最初からあったに違いなく、計画に自分の死を予見するような文言を自分で盛り込んでいる辺り、実際に貞義は事故で死んでなかったのではないか、と(今なら)思います。後の過去編でも偽装が行われてましたし、そんなに早くに死ぬタマとも思えません。大概がずい分と大雑把な計画だと言わざるを得ません。確かに身内は思惑通りに黒賀に頼み潰し合いをしてはいますが、たった一回の事件で全ての人形、事情を知っている全ての黒賀の人間がこの世から消えるわけではありませんし、事実、消えませんでした。同じような事件が何度も起きなくてはなりません。その顛末を見届けないで退場するというのもしっくりきません。 愛人との子をエサにしなくても人形は自分で壊せばいいし、黒賀村全体を何とかする手を打てばいい。



(2)について。
才賀はしろがねの「人形」を作り続けてきた、代々の当主はそれに携わってきた。しろがねはエレオノールだけではなく、これまでにも『しろがね』と名乗る人物がいたことが透けてきますね。何となく、『うしおととら』のお役目さまに似てます。初期設定でも『しろがね』は他にも同時期に複数人いたのかもしれませんが・・・さすがに3万人はいないでしょう・・・。 (3)について。 本当に勝が貞義の血の繋がった息子だったら、って思いますよ。それでこそ時折インサートされる薄幸そうな母親がいきてくる。 「ぼくは・・・そんなことのために・・・生まれたの・・・」己の出生における自問自答。実の父親にエサ呼ばわりをされたからこそ勝の苦しさ、悲しさは際立つし、その実の父親を打ち消す鳴海の存在が色鮮やかになってくる。勝・貞義関係論についてはレビュー8にて言及してますのでここでは割愛します。




後日、勝は行方不明になってしまった鳴海のことでは悩み続けるが、エサ呼ばわりした父親のことは頭から抜ける。それだけ勝には鳴海の影響力の方が強かった。
 



しろがね嬢は阿紫花に何を語ることがあったのか・・・・?



このしろがね、絶対に人形使いの秘密、才賀の秘密、黒賀との関係を知ってますよね?
あくまで勝お坊ちゃまをつけ狙うならば必ず私が殺してあげる。
そして死する者は口外する危険はないから厳重な秘密を教えてあげる。
秘密を抱えて冥途に旅立つがいい。



対する阿紫花はどうも才賀と黒賀の関係、その背後に潜む何かを胡散臭く思い、それを知りたいと思っているような描写がされてます。自分たち黒賀の者が才賀のいいように使われているような匂いを嗅ぎ取り、常々不信感を抱いていたのかもしれません。鳴海への語りでも、「才賀は自分たちを使って実験をしていたんじゃないか」と相手の思惑を計っていたようなことを口にしています。しろがねの様子を探り、無言の駆け引きをしている、本心の知れない、でもちゃんと物を考えるキャラとして描かれてます。



けれど。
後々、しろがねは何にも知らないことにされてしまう。誰によって?神によって。
しろがねは『しろがね』の事情をまるで知らない、ゾナハ病の存在すら知らない、ましてや才賀や黒賀なんてものも今回のことで知ったような娘にされてしまいました。
そう、このしろがねのセリフはブラフでしかないことにされてしまったのです・・・!
阿紫花の今際の際に何を語るつもりだったのか、しろがねさんよ?
阿紫花もこの一件が済んだ後は才賀と黒賀の関係なんてことはどうでもよくなってます。自分のプライドをコケにした才賀に一矢報いようとは思わなかったようです。阿紫花は阿紫花で、彼なりの目線で才賀の秘密を追いかけていてくれてたら、物語の本筋に再合流したときにかなりのキーマンになりえていたでしょうね。



藤田先生は後付けにはとても定評のある方ですが、裏を返せばそれまでの築き上げた設定を大事になさらない方とも言えます。この膨大な物語の全ての辻褄を合わせることは無理だということは理解してます。理解はしていますが初期設定が秀逸な分、主要キャラだけは最後まで活かして欲しかったと思います。
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